手から手へ展-絵本作家から子どもたちへ3.11後のメッセージ- 

まずは3/31に開催した「きてきての木」。タイトルには、これから展示が国内巡回するにあたり、多くの人に足を運んでほしい、「来て来てね」という思いが込められています。講師は早川純子、坂田季代子、山福朱実の3氏。“きてきての木”に住む生き物を想像し、自分や家族の手型を使って、ふしぎな生き物をつくりました。完成した生き物同士でお話ししたり、大きく映し出して即興の物語が生まれたり、その日出会った参加者の間に交流が生まれました。

4/14にはオランダの絵本作家、アレックス・デ・ウォルフを迎え、「HANDMADE(手でつくる)」を開催。日本が好きで、震災後の日本の子どもたちの未来を案じ、手から手へ展に参加したアレックス氏。2012年にヨーロッパを巡回した本展の、オランダ展立ち上げに奔走された方でもあります。はじめに、オランダの国や風土、日本とのつながりについて紹介したあと、彼のつくった紙芝居を鑑賞。堤防の穴を指でふさいで村を水害から守ったというオランダの伝説的少年ハンス・ブリンカーの物語は、自然災害と1人の少年の勇気ある行動という内容に、考えさせられるものがありました。最後に、ポップアップカードを制作。好きな動物をスケッチし、その動物の手(足跡)も描きます。動物の絵が得意なアレックス氏に描き方のコツを習い、それぞれにアイデアいっぱいのカードが完成しました。

どちらのイベントも、作業を通して作家と触れ合い、会場にあふれる笑顔が印象的な2日間となりました。未来を生きる子どもたちへの想いを込めて始まった手から手へ展。出展作家たちの想いが、1人1人の手から手へと、より深く伝わっていくことが実感しました。

(入口あゆみ)