平和と憲法の絵本

『さがしています』
『さがしています』
アーサー・ビナード・作 岡倉禎志・写真

出版社:童心社
出版年:2012年

1945年8月6日の朝8時15分、ヒロシマで持ち主を失ったものたちが、さがしています。ひしゃげ、中身が炭化したお弁当箱は、レイコちゃんが言えなかった「いただきます」を、石段に残された黒い影は、座っていた人のおしりのぬくもりを。広島平和記念資料館に寄贈された遺品が語り部となり、原爆への怒りと悲しみを静かに、しかし、強烈に伝えます。多くの日本語の著作がある、アメリカ出身のアーサー・ビナードは、日本で初めて「ピカドン」という呼び名を知り、それにあたる英語が存在しないことに、課題を背負った思いがしたといいます。撮影の際、広島の「議院石」が台に使われました。そのほのかな桜色の石が、かつての持ち主のぬくもりや息づかいさえをも感じさせます。


『井上ひさしの子どもにつたえる日本国憲法』
『井上ひさしの子どもにつたえる日本国憲法』
井上ひさし・文 いわさきちひろ・絵

出版社:講談社
出版年:2006年

井上ひさしが、敗戦の翌年、日本国憲法が公布されたときの誇らしい気持ちを、いまの子どもたちに伝えたいと願い、手がけた絵本です。本の前半で、前文と9条がやさしい日本語で語られ、後半に憲法の成り立ちや内容についてのより詳しい「お話」、という構成。文章には、いわさきちひろが描いた、小鳥や蝶、色とりどりの花々、そして活き活きとした子どもたちの絵が添えられています。「世界中のこども みんなに 平和としあわせを」と願ったちひろと井上の思いが重なり、子どもたちの未来を守りたいと改めて思います。


『月の貝』
『えほん 日本国憲法』
野村まり子・文/絵 笹沼弘志・監修

出版社:明石書店
出版年:2008年

日本国憲法について、「行きたいところに行く自由」「いやなことはいやと言える」など、ページごとに見出しがあり、それぞれ具体的に、私たちの暮らしに身近な例を提示し、やわらかな色彩の絵とともに説明をしています。明治時代の大日本帝国憲法、戦争、新しい憲法への過程など歴史にも詳しく触れ、日本の憲法が、すべての日本人の、平和で平等な暮らしを目指し、つくられたことがわかりやすく伝わります。大人たちも、今、改めて手にとり、じっくりと読みたい1冊。


『日本国憲法前文』
『日本国憲法前文』
桑迫賢太郎・作 さかいいずみ・文

出版社:中央アート出版社
出版年:2005年

「国中がいつまでも自由で、喜びに満ちあふれるようにしよう。二度と政府の振る舞いで悲惨な戦争が起きることのないようにしよう。」と、平易な日本語で、日本国憲法の前文が紹介されています。原文では、この文は、「わが国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意し」です。文章は、1ページごと短く区切り、それぞれにユーモアのある線画がつけられています。楽しく読み進めながらも、前文に謳われた憲法の大切な理念を知ることができます。


  • 『さくら』 田畑精一・作 童心社 2013年
  • 『くつがいく』 和歌山静子・作 童心社 2013年
  • 『ぼくのこえがきこえますか』 田島 征三・作 童心社 2012年
  • 『なんていいんだぼくのせかい』 荒井良二・作 集英社 2012年
  • 『ブルムカの日記』 イヴォナ・フミェレフスカ・作 田村和子・松方路子・訳 石風社 2012年
  • 『アンネの木』 イレーヌ・コーエン=ジャンカ・作 マウリツィオ・A.C・クゥアレーロ・絵 石津ちひろ・訳 くもん出版 2010年
  • 『よしこがもえた』 たかとう匡子・たじまゆきひこ・作 新日本出版社2012年
  • 『だっこの木』 宮川ひろ・作 渡辺洋二・絵 文渓堂 2011年
  • 『昭和二十年八さいの日記』 佐木隆三・文 黒田征太郎・絵 石風社 2011年
  • 『ちえちゃんのおはじき』 山口節子・作 大畑いくの・画 佼成出版社 2012年
  • 『8月6日のこと』 中川ひろたか・文 長谷川義史・絵 河出書房新社 2011年
  • 『「けんぽう」のおはなし』 井上ひさし・原案 武田美穂・絵 講談社 2011年
  • 『おくにことばで憲法を』 大原穣子・著 新日本出版社 2004年
  • 『憲法と子どもの権利条約』 広沢明・著 エイデル研究所 1993年
  • 『憲法を変えて戦争へ行こう』 井筒和幸・他 岩波書店 2005年
  • 『12歳のキミに語る憲法』 福島みずほ・編 岩崎書店 2012年
  • 『ケンポーじいさん、ながいきしてね。』 Kiitos・著 駿河台出版社 2013年
  • 『「日本国憲法」なのだ!』 赤塚不二夫・永井憲一・著 草土文化 2013年 改訂新版