春の庭

「春になって庭に花が咲きだすと、私の心はどうしてこう散漫になるのであろうか。素どおしのガラス戸から、やわらかい緑や花の色が見えると、もう私は仕事どころではなくなり、すぐ庭にでてしまう。」
いわさきちひろ「続・わたしのえほん」草稿 1971年より

花を愛し、庭づくりを楽しんだちひろは、花だけでなく園芸道具も気に入ったものを選んでいました。とくにじょうろにこだわり、注がれる水の線が細くやわらかで、きれいな放物線をえがくものがいいと話したそうです。こちらの作品には、じょうろやバケツ、スコップも描き込まれ、あたたかな春の光を受けているように見えます。

開催中の展覧会 ちひろ 光の彩(いろどり)では、「ちひろが描いた庭」をご紹介しています。また、美術館の「ちひろの庭」も満開の花々でいっぱいになりました。ぜひお運びください。

◆開催中の展覧会(3/18~6/18)
没後50年 初山滋展 見果てぬ夢
ちひろ 光の彩(いろどり)

いわさきちひろ 春の庭 1969年