共生の庭

ちひろ美術館・東京で開催中の「いわさきちひろ ぼつご50ねん こどものみなさまへ あれ これ いのち」は、「自然」をテーマに、科学的な視点も交えて、ちひろの作品を新しい切り口から見る展覧会です。

ちひろが亡くなってから50年が経ち、多くの生きものが日々地球から消えつつあります。ちひろの絵を通して、人間以外のいろいろな「いのち」となかよく生きるにはどうしたらよいか考えていく本展では、絵本『あかまんまとうげ』をひとつの章で紹介しています。

いわさきちひろ わらびを持つ少女『あかまんまとうげ』(童心社)より 1972年

この絵本には、人が、目に見える形で自然の恵みを得て生きていた世代と、現代(当時)を生きる世代との違いが描かれています。山に住む祖父母の家へ行くことになった孫のかずこ。わらびを取りに行くことになったものの、町育ちの彼女は、最初はどれがわらびなのかもわかりません。しかし、おばあさんといっしょにつむうちに、上手に見つけられるようになっていきます。
人と自然の共生を思い出し、取り戻すために、ちひろ美術館・東京の中庭にも、在来の植物を植え、小さな「共生の庭」として育てています。

展示企画協力を務めた鷲谷いづみ氏と美術館スタッフが、2月末に植えたばかりのふきのとうとわらびの根は、日々元気に成長しています。あたたかくなるにつれ、姿も変わっていきますので、「共生の庭」も展示の一部として、どうぞお楽しみに。

◆2024年3月1日(金)~6月16日(日)
いわさきちひろ ぼつご50ねん こどものみなさまへ あれ これ いのち