学芸員による「あれ これ いのち」展 見どころ紹介①

現在開催中の展覧会から、担当学芸員が見どころをご紹介します。
「あれ これ いのち」展のテーマは「自然との共生」です。このことばでみなさんはなにを思い浮かべるでしょうか。今回は、小さな生きもの=虫に注目したいと思います。

本展では、小さいけれど、無視できない、私たちの身の回りにいる「虫」が描かれた作品も展示しています。ちひろがよく描いていた虫は……蝶です。

いわさきちひろ ランドセルをしょったふたりの少女 1970年頃

初出展のこちらの作品、蝶と菜の花が、道ゆく小学生のおしゃべりに参加しているようです。

いわさきちひろ ねぎぼうずと麦と子どもたち 1960年代半ば

こちらの作品の子どもの手には、虫取り網が。蝶をねらっているのでしょうか?羽根の模様まで、しっかり描かれていますね。

いわさきちひろ 野の草と蝶 1967年

こちらは蝶の羽根の動きまで感じられそうな1点です。本展に企画協力いただいた鷲谷いづみさんがこの絵を見て書かれたことばをご紹介します。
「花を咲かせているのはオカトラノオでしょうか。小さい白い花が穂になって咲いています。蝶が訪れているのは、開花最盛期の花。おしべとめしべが花の外まで伸びている花は蝶に授粉を委ねる花です。 花は下から咲き上がっていくので、上にはこれから咲くつぼみが集まっています。下方では花が終わり丸い実になっています。このような「蝶を招く花」にはいろいろな種類のチョウが訪れます。」

蝶はその小さいからだで花粉を運搬し、植物と生物の共生を語る上で重要な役割を果たしているのです。身近な虫である蝶を、展示室のなかや外で、ぜひ探してみてください。

◆2024年3月1日(金)~6月16日(日)
いわさきちひろ ぼつご50ねん こどものみなさまへ あれ これ いのち