魔法の絵本=絵本の魔法展の見どころ紹介④ 変身
ちひろ美術館・東京で開催中の「ちひろ美術館コレクション 魔法の絵本=絵本の魔法」では、ちひろ美術館のコレクション作品のなかから、「魔法」をテーマに9か国20名のアーティストの作品と資料を展示しています。その見どころを、展示担当学芸員が、全4回にわたり紹介します。
絵本のなかでは、さまざまな「変身」がくりかえし描かれてきました。
アメリカの絵本画家、エリック・カール(1929-2021)は、イソップの寓話をテーマにした絵本のなかで、擬人化した動物を描いています。

エリック・カール(アメリカ)
『イソップの12の物語』習作 1991年
Eric Carle, Bat. Study for Twelve Tales from Aesop. Collection of The
Chihiro Art Museum. ©1991 by Penguin Random House LLC.
「こうもり」の寓話は、動物でありながら、鳥のように空を飛ぶことができるこうもりが、獣と鳥の戦の際に、どちらにも味方をしたあげく、双方から裏切り者と責められ、最終的に孤立してしまう物語です。古くは写本や黎明期の活版印刷に繰り返し図像として描かれてきました。カールは、鳥にも獣にも変身できるこうもりを、シルクハットをかぶり、長いローブをまとって、つえを振る熟練の魔術師のような姿に描いています。
日本の絵本画家、長新太(1927-2005)は、ふしぎな魔法使いのねこを描いています。

長新太(日本)『まねっこねこちゃん』(文渓堂)より 1996年

長新太(日本)『まねっこねこちゃん』(文溪堂)より 1996年
「ちょっとまねして このとおり まねっこねこちゃん まほうつかい」。まねっこねこちゃんは、見たものに姿を似せることができます。鮮やかな色彩を背景に、どこまでも地平線が続く広大な土地から、ビルが建ちならぶ町まで、好奇心の赴くまま、ザリガニや花、家やすべりだい、なににでも変身します。プリンセスや正義のヒーローにすぐに変身できる子どもたちにとっては、日ごろから親しんでいる魔法といえるかもしれません。
大人になるにつれて忘れてしまうこの変身の魔法を、絵本を通して思い出してみてください。この魔法が習得できたら、できるかぎりへんてこなものに変身してみましょう! 日常のきゅうくつな考え方から自由になれるかもしれません。
◆5/15(金)~7/20(月・祝)初夏の展覧会
いわさきちひろ「とても素朴なんだけれど たいせつなもの、それが絵本の中にはあるんです。」
ちひろ美術館コレクション 魔法の絵本=絵本の魔法
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