[表紙の作品]いわさきちひろ 3人の子どもたち 1972年

画面いっぱいに三人の子どもの頭部だけが描かれています。素早い筆致は、子どもたちの動きとともにそれぞれに感じたり、考えたりしている心の内までもとらえているようです。この絵は、小学一年生の国語の教科書の表紙のために描かれたものです。ちひろは、教科書の絵についてこう語っています。「子どもが、その幼い頭に知恵をいっぱいふくらませて、どんなに眺めまわしたってあきないで、お話が山ほど出てくる絵。これを立派な芸術にたかめることだ。」このことばからは、子どもの心に寄り添い、子どもに響く絵を届けることへの画家としての自負が感じられます。