[表紙の作品]いわさきちひろ ききょうと子どもたち 1967年

五人の子どもたちが、ききょうの花の間であそんでいます。ちひろは、凛と咲くききょうの花の部分だけを画面に大きく配しています。
「紫」は、ちひろが最も好んだ色のひとつでした。青紫から赤紫までの幅広い色相や、濃淡の微妙な階調を使い、ききょうの紫を豊かに表現しています。
服の黄色や、靴下の水色も、この絵には欠かせない色です。少しの差し色を置くことで、画面上の色が互いに響き合い、引き立て合っているのがわかります。
右の少女は後ろを向き、表情は見えませんが、大きな花や変化に富んだ色彩が、友だちと一緒にあそんでいる少女の今の心情を表しているのかもしれません。