ザ・キャビンカンパニーの絵本
安曇野ちひろ美術館では、現在「ようこそ! ザ・キャビンカンパニー新収蔵作品展 ―がっこうにまにあわない・ゆうやけにとけていく―」を開催中です。
【会期】2026年6月12日(金)~9月6日(日)
本展にあわせて、ザ・キャビンカンパニーの絵本をご紹介します。展示室内でも、2014年から現在までに出版された絵本の数々をご覧いただけます。ぜひお手に取ってお楽しみください。

『カサコソのかくれんぼ』
ザ・キャビンカンパニー 作・絵
出版社:偕成社
出版年:2021年
「やあ、このいえはね、ぼくのいえ。」と始まる絵本の最初のページには、2階建ての洋風な一軒家が描かれています。2階の窓辺で女性が『やねうらそうじ』と題した本を読んでおり、家の前には犬が一匹。そして、さらに屋根の近くの窓から、触角のあるかわいい虫らしきものがこちらを見ています。ぼく、とはいったい誰?と思うと、次のページで「ぼくはゴキブリのカサコソだよ。」と、自己紹介。そこから、住人の女性の「やまださん」と、「ぼく」のかくれんぼがスタートします。
屋根裏部屋には、いろいろなものが大切におかれていて、カサコソを探すのは容易ではありません。やまださんは、画家なのでしょうか、額縁があったり、yamadaとサインされた作品があったり、ほかにもぬいぐるみや世界中で集めたおみやげや、ギターまで。私たち読者はページごとに、カサコソを画面のなかから探すのですが、これが結構大変で、面白いのです。カサコソの他にも仲間のてんとうむしや、いもむしもいて、絵をしっかり見ると、いろいろな発見があり、驚く展開もあり、くせになりそうな1冊です。

『ポケモンのしま』
ザ・キャビンカンパニー 作・絵
出版社:小学館
出版年:2020年
1996年に誕生し、社会現象となった大人気シリーズ「ポケットモンスター」(以下、ポケモン)。1989年生まれのザ・キャビンカンパニーにとって「ポケモンは『子ども』時代そのもの」だったと言います。
ある朝、ポケモンたちが住む島に小さな子ども・ゆめたがやってきます。ゆめたは毎日船に乗って島を訪れ、ポケモンといっしょに空を飛び、穴を掘り、野原でお昼寝をし、夢のような時間を過ごします。
幼少期を振り返り、現実世界のなかにポケモンを探していたと語るザ・キャビンカンパニーは、絵本のなかでも空想と現実が入り混じったような表現を試みました。木のキャンバスの凹凸や絵の具の筆跡、クレヨンやマーカーによるラフなタッチは、空想の世界に手触りを感じさせます。
一方、繰り返し登場する子ども時代の象徴のような入道雲や色鉛筆による島の木々のぼうっとした陰影は、非現実的な雰囲気を醸し出しています。空想世界と現実、そして子ども時代と大人になった現在、読者がふたつの世界を行き来して楽しめる一冊です。

『だいおういかの いかたろう』
ザ・キャビンカンパニー / 作・絵
出版社:鈴木出版株式会社
出版年:2014年
ゆめたくんが園にむかっていると、声が聞こえてきました。声の主は池のなかに迷い込み、凍って動けなくなってしまった「だいおういかのいかたろう」でした。ゆめたくんは、ともだちやせんせいといっしょに池の氷を溶かし、いかたろうを助け出します。
多くの絵本を生み出している注目のふたり、ザ・キャビンカンパニーのデビュー作。冬のお話ですが画面は寒色だけでなく、さまざまな色や模様が使われていてにぎやかです。いかたろうは黄色くて、玉ねぎみたいな形のりっぱな頭にはちまきをした、インパクトのあるキャラクター。話すことばにはときどき「イカ」が入ります。助けてもらったお礼にダンスを教えてくれますが、このダンスは読者のために、振り付けが丁寧にわかりやすく描かれ、楽譜や歌詞もついていて、YouTubeで実際に踊っている人の動画まで見られる徹底ぶり。いかたろうのいかダンス、踊らないわけにはいきませんね。虜になる人も多そうです。
楽しい仕掛けがたくさんあって、心も体もぽっかぽかになる絵本です。ぜひ読んでみてください。

『ケチャップれっしゃ』
ザ・キャビンカンパニー 作・絵
出版社:鈴木出版
出版年:2016年
鮮やかな色彩で描かれた景色のなかを、ケチャップの煙を出しながら、「ぷ~~~!けちゃ、けちゃ、けちゃ」と走る真っ赤なケチャップ列車。出会った食べ物に「ぷ ぷ ぷ ぷ ぷちゅ~~~!」とケチャップをかけながら進んでいきます。
最初に出会うのは、みみずの兄弟。画面いっぱいに広がるホットドッグへ、ケチャップをたっぷりしぼります。次に出会うのは、パンダの兄弟。オムレツにケチャップでパンダの顔ができあがります。動物たちや食べ物に出会うたび、ケチャップをしぼる量はどんどん増えていきます。最後、止まれなくなった列車が、どーん!と何かに大激突。今までで一番たくさんのケチャップが飛び出します。何の食べ物にぶつかったでしょうか。
ページをめくるたびに、おなかがすいてくる一冊。読み終えるころには、ケチャップをたっぷりかけたメニューが食べたくなります。今日のごはんは何にしますか?
そして、もうひとつの注目したいのは、この本に出てくる緑色の小さな鳥。ザ・キャビンカンパニーが飼っているインコのぽぽちゃんがモデルになっているそうですよ。
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