開催中の展覧会「いわさきちひろと師・中谷 泰」のご紹介③

開催中の「いわさきちひろと師・中谷 泰」展では、今年で没後30年を迎える画家・中谷が独自の視点から人物や風景をとらえたデッサンや油彩を展示しています。中谷が感銘を受けて描いた風景のひとつが常磐炭鉱です。中谷は、人の手がつくった壮大な風景や、そこで働く人に共感を寄せて、くりかえし描いています。ちひろも同時期に、自身が手がける新聞連載小説の挿し絵のために、小説の舞台となった常磐炭鉱を訪れて、スケッチを残しています。そのほか、ちひろがベトナム戦争下の子どもに心を寄せて描いた絵本『戦火のなかの子どもたち』の原画と、中谷が戦争中のベトナムを訪れて、そこで出会った子どもたちを描いた油彩など、共通のテーマから、ふたりの交差するまなざしが浮かびあがります。

中谷泰 炭坑 1954年 三重県立美術館蔵

いわさきちひろ 向こうにボタ山が見える炭坑の建物群 1960年代