魔法の絵本=絵本の魔法展の見どころ紹介③ 数字とアルファベット

ちひろ美術館・東京で開催中の「ちひろ美術館コレクション 魔法の絵本=絵本の魔法」では、ちひろ美術館のコレクション作品のなかから、「魔法」をテーマに9か国20名のアーティストの作品と資料を展示しています。その見どころを数回にわたり紹介します。

数字やアルファベットに特別な魅力を感じたことはありませんか?
古今東西の文化で、数字や文字は宇宙の秩序や神秘を示す象徴とされ、魔法と深く結びついています。絵本のなかでも、数や文字はふしぎな力を持っています。たとえば「3びきのこぶた」の「3」や、「白雪姫」に登場する7人のこびとの「7」は、くり返しや特別な意味をあらわします。また、アルファベットは、ものの名前を教えるだけでなく、ひみつの合図にもなります。ことばをおぼえる前のあかちゃんから親しめる絵本にも、数や文字が登場します。やわらかな感性で、数や文字を見つめれば、魔法の世界の手がかりがつかめるかもしれません。
チェコのアーティスト、クヴィエタ・パツォウスカー(1928-2023)は、「文字や数字には何千年という文化の歴史に磨かれた美しさを感じる」と語り、数字をモチーフにした作品を数多く制作しています。絵本『ふしぎなかず』は、視覚的なしかけやリズムを通して数の世界を楽しむ絵本です。子ども向けの本でありながら、その豊かな造形表現は大人をも魅了します。鮮やかな色彩で数の神秘を描き出すパツォウスカーは、まるで魔術師のようです。展覧会では、原画のほか「ふしぎなかず」をモチーフにしたペーパースカルプチャー(紙の彫刻)も展示しています。

クヴィエタ・パツォウスカー(チェコ)『ふしぎなかず』(ポプラ社)より 1990年               

クヴィエタ・パツォウスカー(チェコ)数の物語 1990年

アメリカの画家、アニタ・ローベル(1934-)が絵を手がけ、夫のアーノルド・ローベル(1933 – 1987)が文を書いた絵本『ABCのおかいもの』は、さまざまな店で品物を買う物語を通してアルファベットを学ぶABCブックです。AはApple(りんご)、BはBook(本)、CはClock(とけい)……と、AからZまで、品物でできた人物が登場します。アニタは、旅先のフランスの書店で見つけた17世紀のポスターの複製に、商いの道具や商品を全身にまとった商人のイメージを見つけたそうです。そこから着想を得て、この絵本はうまれました。古いポスターのイメージとアルファベットに宿る神秘的な力を重ねて、わたしたちを豊かな想像の世界へといざないます。

アニタ・ローベル(アメリカ)『ABCのおかいもの』(偕成社)より 1981年

展示室のなかにも魔法の文字がかくされています。6つの解説パネルのなかにある「ひみつの文字」を順番にひろってつなげると、魔法のキーワードが完成します。ぜひ、挑戦してみてください。あなたを魔法の世界へ導いてくれるでしょう。

▽開催中の展覧会 5月15日(金)~7月20日(月・祝)
ちひろ美術館コレクション
魔法の絵本=絵本の魔法
https://chihiro.jp/tokyo/exhibitions/77732/