司修 『まちんと』(偕成社)より 1983年

司修 『まちんと』(松谷みよ子・文 偕成社)より 1983年

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<小企画展>新規収蔵作品 司修『まちんと』原画展

広島の原爆で被爆した女の子を主人公とした絵本『まちんと』のために司修が描いた作品が新たに収蔵されました。絵本のための原画全点を、ちひろ美術館で初公開します。

図1 司修 『まちんと』(松谷みよ子・文 偕成社)より 1983年

司はタブロー画家、作家、装丁家としても活躍しながら、多くの絵本も手がけています。『まちんと』は1978年に出版された後、司が筆を加え、新版では2場面が描き足されています(図1)。
司は、松谷から絵の依頼を受けた後、原爆というテーマをどう絵本に描くか悩み、取材でいく度も広島へ足を運びましたが、なかなか絵が描けず、テキストが書かれた原稿用紙をいつもポケットに入れて歩いていたといいます。松谷は、絵の参考になればと、自分の娘たちの写真と、「…この子はじつは3歳なので、『まちんと』の子より大きいのです。」と書いた手紙を司に送っています。

司修 『まちんと』(偕成社)より 1983年

図2 司修 『まちんと』(松谷みよ子・文 偕成社)より 1983年

表紙と裏表紙には、女の子と、向日葵の花が大きく描かれており、広島に原爆が落とされた暑い夏の晴れた日であることが伝わってきます(図2)。