クヴィエタ・パツォウスカーさんについて②
パツォウスカーさんは1928年にチェコスロバキアで生まれました。オペラ歌手の父と、外国語教師の母のもと、本と絵と音楽に囲まれた子ども時代を過ごしますが、ナチスの台頭によりユダヤ人の父が連れ去られ、再び会えることはありませんでした。17歳までの4年間は学校へ通うことも許されませんでした。
戦後は、奨学金を得てプラハの美術学校で応用美学を学び、バウハウス思想に共鳴し、子どもの本のイラストレーターとして活躍します。しかし、1968年の「プラハの春」弾圧後は、モダンアートに近い彼女の作品は発表が困難になり、80年代に入ってようやく絵本の仕事が国際的に評価されるようになりました。
1983年BIB金のりんご賞、1988年プレミ・カタロニア(バルセロナ世界絵本原画展)グランプリ、1992年国際アンデルセン賞画家賞を受賞しました。
平和への強い願いを持ち、作品を通して、子どもたちにしあわせな時を届けようと、自らの芸術表現を追及する姿は、いわさきちひろの生き方にも重なります。
※ちひろ美術館コレクション画家で2月6日にご逝去されたクヴィエタ・パツォウスカーさんについて、毎週水曜の休館日に、数回に分けてご紹介しています。
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