「てなわけで20年。魅惑のチョウ、シンタ展」学芸員のつぶやき①

「てなわけで20年。魅惑のチョウ、シンタ展」学芸員のつぶやき①
現在開催中の展覧会を、担当学芸員がご紹介します。

ユーモアとナンセンスの王様・長新太の没後20年となる今年。安曇野では、長新太が描いた作品や資料を4つのテーマで紹介する展覧会を開催中です。

テーマその1「魅惑のいきもの大集合」

まるごとトンカツになったブタや、動物の頭を「ギューッ、ギューッ」とにぎっておにぎりにしてしまうネコ……、長新太の絵本には、個性的でオモシロイいきものが登場します。

あたまがゴムでできている男の子が主人公の『ゴムあたまポンたろう』もそのなかの1冊です。山や木、ときにはおばけの親子など、奇想天外なものにもぶつかってはずみながら、さまざまな場所へと飛んでいきます。1998年に刊行され、今も高い人気を誇る絵本です。

長新太の作品は、万物に命が宿る「アニミズム」の思想をもとに描かれました。「コップさん、キュウリさんって呼びかけるみたいに、子どもの頃はみんなそれを知っていたはずなんです。僕にはその心がある。だから無理に子どもの気持ちになって本を描かなくても、自分が面白い!と思えば子どもも面白いに違いないと思っている。この気持ちは僕のお守り、呪符のようなものです」と語っています。

本展では、2002年に制作された立体作品の「ポンたろう」も展示中。ベルトが背中でクロスし、お尻にポケットがついた後ろ姿も立体作品ならでは風景です。

ぜひ夏の安曇野にお越しください。