春の展覧会紹介⑲ 「あ・そ・ぼ」展 終了まであとわずか

今回は、「あ・そ・ぼ」展のメインビジュアルにも登場するこちらの作品を解説します。
 

いわさきちひろ 黄色い風船を持つ少年 1968年

風船を持った少年は、なにを考えているのでしょうか。

左上には三人の子どもが配され、少年の上には、パステルで描かれた子どもの落書きが重ねられています。

この絵は、雑誌「子どものしあわせ」の表紙として描かれたもので、ストーリーはありません。少年が過去に描いた落書きを思い出しているのか、あるいはこれから描くものを考えているのか、左上の三人はこちらに向かって来る友だちなのか、過去の自分なのか……。一枚の絵から幾通りもの物語が想像されます。

ちひろは、しばしば人物の上に画面の層を重ねる描き方をしていますが、これは、子どもの想像する世界を視覚的にあらわしているのかもしれません。
 
「あ・そ・ぼ」展は、安曇野ちひろ美術館にて6/2(日)まで開催します。
その後、形を変えてちひろ美術館・東京(練馬)へ巡回します(6/22~)。
 
「あ・そ・ぼ」展の終了まであとわずか。
初夏の安曇野へ、ぜひあそびにいらしてください。