
ちひろ 平和への願い
80年前の1945年3月10日、「東京大空襲」により、一夜にして10万人の命が失われ、東京下町の大部分が焦土となりました。
いわさきちひろはその後の5月の空襲で家を焼失、いちめんの火の海のなかを家族とはぐれ、川のあるあき地へ逃げて、バケツで水をかぶったといいます。この体験は、ちひろのその後の生き方につながっていくことになります。
青春時代のあの若々しい希望を何もかもうち砕いてしまう戦争体験があったことが、私の生き方を大きく方向づけているんだと思います。平和で、豊かで、美しく、可愛いものがほんとうに好きで、そういうものをこわしていこうとする力に限りない憤りを感じます。
いわさきちひろ 1972年

少女と指にとまった小鳥『あかまんまとうげ』(童心社)より 1972年
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