いわさきちひろについて寄せられた新エピソード:コスモスの花束とトマトサラダ
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ちひろ美術館では、いわさきちひろに関する情報提供をお願いしています。今回は、昨年、新たに寄せられた新情報を紹介します。
母から聞いた思い出話です。
母が出版社勤めだったころ、ちひろさんに挿し絵を依頼するお使いを先輩から頼まれました。教わった道順通りに行っても、ご自宅が見つからず途方に暮れていたところ、目の前の空き地にたくさんのコスモスが咲いており、そこにいた方が「持っていきな」と両手いっぱいの花束にしてくれました。その後、先輩が最寄りの駅名を間違えていたことが判明し、無事にちひろさんのお宅に到着できた母は、お土産にコスモスの花束を差し上げたそうです。ご多忙なちひろさんは挿し絵の仕事は断ろうと考えていたらしいのですが「こんな素敵なプレゼント持ってこられちゃやるしかない」と、すぐに挿し絵を描いてくれたそうです。

いわさきちひろ 花を持つワンピースの少女 1969年頃
母は、待っている間にお手伝いさんが出してくれたトマトのサラダが宝石みたいにきれいに盛り付けられて、キラキラと美しかった、スライスされたトマトがきちっと並べられていた、とよく話してくれました。母が出版社に勤めていたのは、1963~1973年ごろですが、ちひろさんをご訪問した時期は残念ながら不明です。コスモスとちひろさんのエピソード、あまりにもちひろさんの絵を思わせる内容ですね。
このお話を受け、当館でも当時のちひろを知る人々に取材をしてみました。まずは、住み込みでお手伝いをされていた加藤友子さん。
当時は、トマトのスライスを並べた上に、玉ねぎのみじん切りを散らしてドレッシングをかけたサラダをよくつくっていたので、おそらくそれではないでしょうか? ほかにも、甘夏+大根角切り+玉ねぎのみじん切りのサラダや、蕪の葉の粕漬もよくつくっていたのを思い出します。
ちひろの息子、松本猛からもコメントが寄せられました。
トマトのサラダは、丸ごと一個を、よく切れる包丁で薄くスライスして、それを斜めにずらして並べ、上に玉ねぎのみじん切りを乗せるものです。確か母が考案して、よく食べていました。ぼくは今でもたまにやります。玉ねぎの代わりに長ネギでも、ニラでもいけます。ドレッシングに少し醤油を垂らすこともありました。
これからトマトがおいしくなる季節、ぜひ試してみたいですね。甘夏と大根のサラダもおいしそうです。それにしても、お茶やお菓子ではなく、トマトサラダが出されるなんて、お母さまにとっても、印象に残る訪問だったことでしょう。

いわさきちひろ 料理と女性3態 1960年代半ば
ご家族に繰り返しお話しくださっていた思い出話が、60年の時を超えて、ちひろ美術館にまた戻ってきました。心あたたまるエピソードを共有していただき、スタッフ一同、心より感謝しております。(アーカイブズ担当:N)
ちひろ美術館では、ちひろに関する資料や情報を随時募集しています。どんな小さなことでも結構です。ご連絡をお待ちしております。
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TEL.03-3995-0612
*「ちひろ美術館・東京 美術館だよりNo.228」5ページで、いわさきちひろの新収蔵作品と、60年ほど前のちひろに関する新情報を紹介しておりますが、紙面の都合上、一部割愛したエピソードを、こちらでご紹介しています。美術館だよりは公式サイトからもお読みいただけます。
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