ちひろの絵本づくり『ことりのくるひ』②

【ちひろの絵本づくり『ことりのくるひ』②】

絵本『ことりのくるひ』(至光社)は、「ことりがほしい」という思いが芽生えた少女の心情が、説明的な要素を極力省いた絵とことばで描かれています。
ちひろは、主人公の少女に自分自身を重ね、子どものころの感性をみずみずしく映し出しています。

いわさきちひろ 小鳥と少女『ことりのくるひ』(至光社)より 1971年

作品「小鳥と少女」は、『ことりのくるひ』の表紙とその一場面を飾る作品です。作中ほとんど後ろ姿で描かれていた少女は、小鳥がやってくるクライマックスのこの場面で、正面を向いた大きな顔のアップで描かれます。
「しーっ ことり」と口を手で覆う少女の表情から、驚きと興奮が伝わってきます。