「愛書総覧 ちひろの本棚」-宮澤賢治

いわさきちひろのアトリエの画机の後ろには大きな本棚がありました。

これらの本は、いわさきちひろの生き方や好み、
画家としての仕事とも深く関わっています。

20代の若い時代に戦争を体験したいわさきちひろは、日本が戦争へと進むなか

宮澤賢治

の童話や詩に出会い、その作品世界と思想に惹かれました。

終戦直後に書いた26歳のときの日記には、賢治の名前や詩の一節などが度々登場し、後に、この時期の賢治への心境を「命のように大切だった」と語っています。

人生を模索する若き日を支えた賢治への思いは、20年以上の時を経て、

『花の童話集』

として結実しました。

hananodouwa

いわさきちひろ 秋草のあいだからのぞく子ども 『花の童話集』(奥付) 1969年
/ ChihiroIwasaki , Peeping through Autumn Grass , 1969  

 
宮澤賢治の 「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」 ということばは、「世界中のこどもみんなに平和としあわせを」 と願い続けたいわさきちひろの生き方にも重なります。

草花、鳥、太陽、風、すべてが等しいいのちと個性を持って登場する宮沢賢治の童話。
いわさきちひろは、宮沢賢治と共鳴する自らの感性を信じ、自由に想像を広げて描き出しました。

 
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いわさきちひろ おきなぐさ(銀毛の房) 1969年 
/ ChihiroIwasaki , Cotton of Okinagusa Flowers , 1969

 

★展示:~2016年11月30日(水)まで
10のテーマで約60点を展示しています。この機会にぜひご覧ください。
→「愛書総覧 ちひろの本棚

 
(I.H.)