
【学芸員がじっくりご紹介!展覧会みどころ⑤】 「ちひろが描いた、しあわせの時間」
現在、開催中の展覧会、「戦後80年 ちひろと世界の絵本画家たち 絵本でつなぐ『へいわ』」では、ちひろの平和への願いが込められた、しあわせな情景を描いた作品を数多く展示しています。
家族や友だちと過ごしたり、好きなことに夢中になったりと、なにげない日々のくらしのなかに、しあわせを感じるときがあるでしょう。ウクライナやガザなどリアルな戦場の映像は、おだやかな日常が戦争によって無残にも簡単に破壊されることを伝えています。
空襲のなかを逃げまどった体験を持つちひろにとって、戦争はけっして許されるものではありませんでした。「平和で、豊かで、美しく、可愛いものがほんとうに好きで、そういうものをこわしていこうとする力に限りない憤りを感じます。」と語ったちひろは、愛情に包まれた子どもの絵にも、戦火にさらされた子どもの絵にも、平和への思いを込めました。しあわせな情景を描いた、ちひろの絵の数々をお楽しみください。
これらの作品の多くを収録した、最新刊の画集『ちひろの子どもたち ハッピータイム CHIHIRO’S CHILDREN Happy Time』(グラフィック社)もあわせて、ご覧いただければ幸いです。

「にじの はし」1963年

お母さんと湯あがりのあかちゃん 1971年

魚と戯れる子どもたち 1967年
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