星を描いた絵本

安曇野ちひろ美術館では、現在ちひろ美術館コレクション 星の下の物語」を開催中です。

「星の下の物語」展では、ちひろ美術館コレクションのなかから、世界の絵本画家が描いた星の作品を紹介します。
夜空を見上げる機会が増える夏から秋、絵本のなかでさまざまに描かれた星も探してみましょう。

【会期】2026年6月12日(金)~9月6日(日)

『だれかがよんだ』
作・絵 瀬川康男
出版社:福音館書店
出版年:1990

あそぶことが大好きな犬のおび。あそび相手をさがしてさまよいます。オオイヌノフグリに叱られたり、月の白うさぎにこっちにおいでよと誘われますが、相手に選んだのはいつもなかよしの女の子、ふうでした。

作者である瀬川の山荘にあらわれ、飼うようになった愛犬・オビがモデルとなった絵本です。特徴的な字体で書かれた「だれかが よんだ」「おび おいで」「だれかは だれか」などのことばのくり返しが、次の展開を期待させます。

テンペラ画に興味があった瀬川は、画家・田口安男に手ほどきを受け、この絵本で 黄金背景のテンペラ技法を用いました。おびの毛や夜空の星の瞬きも、繊細な金色の文様で表現されています。青と金の対比が美しい1冊です。

 

『こうもりくん』
ゲルダ・ヴァーゲナー 作
エミーリオ・ウルベルアーガ 絵
いけだかよこ 訳
出版社:徳間書店
出版年:1998

みなさんは、コウモリにどんなイメージを持っていますか?
西洋では、魔女の手下や、ドラキュラが変身する姿として描かれたり、夜行性で暗い洞窟に暮らしていたりすることから、怖いイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。

この絵本に登場する「こうもりくん」は、吸血鬼も住んでいるトランシルバニアに引っ越してきたばかり。
まだ子どもなので、つばさの色はピンク色です。ところが、こうもりのくせに暗闇が怖くてたまりません。
仲間たちにからかわれ、こうもりくんは一生懸命、平気なふりをします。でも、とうとう我慢できなくなり、街へ逃げ出してしまいます。
そこで、ひとりの女の子と出会ったこうもりくん。女の子との出会いをきっかけに、少しずつ勇気を出して、苦手なものを克服していきます。

画面に登場する、愛らしいこうもりくんや仲間たち、昆虫や鳥たち。そして、夜の空の色の変化も美しく描かれています。

コウモリって、怖い生きものというイメージが、少し変わるかもしれません。怖がりだけど、一生懸命 勇気を出すこうもりくんを、応援したくなる一冊です。