ユゼフ・ヴィルコン 「ドアの前の犬」のエスキース 1995年

「96才、画家。ユゼフ・ヴィルコン。 ―ポーランドの巨匠―」学芸員のみどころ③

現在、安曇野ちひろ美術館では「96才、画家。ユゼフ・ヴィルコン。ーポーランドの巨匠ー」を開催しています。会期ものこりわずか!お見逃しなく。
最終回の今回は、絵本を飛び出した作品をご紹介します。

絵本のために描く作品は、普通、紙などに描かれた平面のものが多いのですが、ヴィルコンは、知り合いの子どもたちと遊びでつくった木の作品をきっかけに、立体に目覚めます。
「この作品を写真に撮り、絵本のための絵に使ってはどうだろう?」というアイディアが浮かんだのです。
それが実現した最初の絵本が2011年に出版されたPsie życie (未邦訳。直訳すると「犬の生活」ですが、「惨めな暮らし」という意味。)。
2012年には「世界で最も美しい本コンクール」の銅賞も受賞しています。

Psie życie 書影

Psie życie 書影


木でつくられた犬の表情や姿は、こちらに訴えてくるものがありますね!
こちらの作品は展示していませんが、現在開催中の展覧会でも、すてきな犬が待っていますよ。

ユゼフ・ヴィルコン 「ドアの前の犬」のエスキース 1995年

ユゼフ・ヴィルコン 「ドアの前の犬」のエスキース 1995年


それが、こちらです。ヴィルコンは、1990年代半ばから彼が「空間イラストレーション」と名付ける立体作品をつくりはじめました。
平面のイラストレーションとはまた異なる味わいを出して、人気を得ています。
筆を斧に持ち替えただけで、もとは同じだと語る本人。木や金属などの素材を生かしながら、さまざまな動物たちの姿を捉えるのは、さずがです。

ユゼフ・ヴィルコン 「ドアの前の犬」のエスキース 1995年

ユゼフ・ヴィルコン 「ドアの前の犬」のエスキース 1995年


こちらのドアの前の犬には、制作スケッチもあり、展示中です。
犬の姿勢をいろいろ考えていたことがわかります。ドアの向こうには、何があるのか?誰がいるのか?と想像をかきたてる作品ですね。
(ヴィルコンは、犬を2匹飼っています。)

安曇野ちひろ美術館には、会期終了後も見られる常設のヴィルコンによる立体作品があります。
天井を泳ぐ魚や、ブルースを演奏するアフリカの動物たちに、ぜひ会いに来てください。

ユゼフ・ヴィルコン 海の騎士 1993年, ユゼフ・ヴィルコン 魚を食べかけている魚 1993-95年

ユゼフ・ヴィルコン 海の騎士 1993年, ユゼフ・ヴィルコン 魚を食べかけている魚 1993-95年


ユゼフ・ヴィルコン アフリカン・ブルース 1995年

ユゼフ・ヴィルコン アフリカン・ブルース 1995年

現在、ヴィルコンが住む、ポーランドのワルシャワの南に位置する町ピアセチュノ(Piaseczno)では、彼の作品を収蔵展示する、ユゼフ・ヴィルコン現代美術館が開館に向けて準備中です。
市内には、彼がつくった彫刻の動物たちが、屋外に展示されています。

Szlak rzeźb Józefa Wilkonia

これからも、ヴィルコンの活躍と活動に注目していきたいですね!ワン!