『やさしいおおかみ』 書影

「96才、画家。ユゼフ・ヴィルコン。 ―ポーランドの巨匠―」学芸員のみどころ②

現在、安曇野ちひろ美術館では「96才、画家。ユゼフ・ヴィルコン。ーポーランドの巨匠ー」を開催しています。
今回は、ユゼフ・ヴィルコンの名前から、彼の魅力に迫ります。

今日から2ヵ月前の3月19日は、ユゼフ・ヴィルコンの名前の日でした。
名前の日?ポーランドでは、誕生日のほかに、imieninyという名前の日を祝います。
3月19日はユゼフという名前の方すべてを祝う日だったのでした。

さて、ユゼフ・ヴィルコンの苗字であるヴィルコン(Wilkon)。
彼の名字には、ポーランド語でオオカミを意味するwilk、ウマを意味するkońが隠れています。
2種類の動物が含まれた名前をもつヴィルコンは、オオカミが登場する絵本を何冊か描いています。

パステルで描かれた最初の絵本でもあり、
オオカミが主人公として登場するのが、『やさしいおおかみ』です。
こちらの作品は、今回の展覧会で初めて展示します。

ユゼフ・ヴィルコン 『やさしいおおかみ』より 1982年頃

ユゼフ・ヴィルコン 『やさしいおおかみ』より 1982年頃


「おおかみのいちばんたいせつなしごとはね、
もりのどうぶつたちがかってなことをしないようにしっかりとみはっていることなんだ」と
父親から聞かされていたオオカミ。
森のなかで、ちょっとこわい顔をして立っているのが見えるでしょうか。
木の上にはフクロウが枝にとまっていますね。

ヴィルコンは、オオカミはおそろしい、フクロウは賢い、といった固定した見方を好ましく思わず、
そんな見方をくつがえすような絵をいくつか描き、
それをもとに、ドイツの作家ペーター・ニックルが文を書きました。

『やさしいおおかみ』 書影

『やさしいおおかみ』 書影


絵本の表紙には、花をもったオオカミが描かれていますが、確かにやさしそう。
どんなことがおきたのかは、絵本をぜひよんでみてください。

当館では、テーマブックスとしてヴィルコンの絵本を紹介しています。こちらもあわせてご覧ください。

ユゼフ・ヴィルコン 『ちびおおかみ』より 1993年

ユゼフ・ヴィルコン 『ちびおおかみ』より 1993年


現在の展覧会には『ちびおおかみ』の原画も出展中。
こちらの森とオオカミの描写はまたひと味違って、月明かりのなかの風景が印象的です。