展示作品から その3

現在展示室2で開催中の展示、エリック・カールとアメリカの絵本画家たちも、会期残すところ10日ほどとなりました。この展覧会は、エリック・カールの作品と人生を紹介する部分と、当館のコレクションより、コールデコット賞を受賞した画家たちの作品を紹介する部分から構成されています。

 今回は、コールデコットとコールデコット賞についてご紹介します。 

ランドルフ・コールデコット 自画像  1886年頃

 この作品は、ランドルフ・コールデコットの晩年の自画像です。1846年イギリスのチェスターに生まれ、銀行で働いていた彼は、独学で描き、雑誌や新聞に発表していた絵が編集者たちの目にとまり、退職してロンドンへ。雑誌の仕事をするなかで評判を得て、さらに挿絵本を手がけます。木版画工房を主宰し、出版プロデューサーでもあったエドマンド・エヴァンズと組んで1878年から描いた子どものための本には、生き生きとした動物や人間が描かれています。

 

ランドルフ・コールデコット『かえるくん 恋をさがしに』より 1878~1885年

 

彼の子どものための本は80万部以上印刷され、アメリカでも多くの子どもたちに読まれました。

 コールデコット賞は、アメリカ図書館協会のなかの児童図書館協会により、彼のような優れた画家がアメリカにも輩出されることを願い、1937年に設立されたアメリカ最古の絵本賞。前年にアメリカで出版された絵本のなかから最も優秀なものに賞と次点が与えられます。この賞を受賞した絵本の表紙には、コールデコットの絵が描かれたメダルを模した金色のシールが貼られています。

 

 

今までの受賞者には、コールデコットの作品を敬愛していたモーリス・センダック、3度もの受賞者であるマーシャ・ブラウンなどがおり、彼らを含めた13名の画家たちの作品をご覧いただけます。

ぜひ会期中にお見逃しなく。 (M.M.