ちひろ美術館スタッフ「お気に入りの作品」②

臨時休館中のちひろ美術館(東京・安曇野)から、おうちで美術館を楽しんでいただける情報を発信しています。学校がお休みで、外出もできない期間に、美術の世界に少し触れてみませんか。
約9,500点あるいわさきちひろの作品のなかから、ちひろ美術館のスタッフが、ひとりひとり「お気に入りの作品」を1点選び、作品への想いをリレー形式で語ります。

【ちひろ美術館スタッフ「お気に入りの作品」②】

いわさきちひろ あやめ 1973年

ちひろ美術館・東京の展示関連企画で、「親子で楽しむ水彩技法」を担当したときのことです。会場は近くの石神井公園、カキツバタの花がちょうど見ごろの季節を迎えていました。「あやめ」の作品を見本にして、実際に花を描いてみせたらいいのでは?と下見の際に思いついた私は、館に戻ってさっそく挑戦してみました。
まず紫色をたっぷりと筆に含ませて花びらを描きます。なかなかいい感じです。つぎに絵の具が乾く前に「たらし込み」の技法を使って、色を淡くしたいところには水を、花びらの根元には黄色をたらしてみたところ、すべてが混じり合って暗い深緑色に…。よく作品解説で「ちひろは水彩技法を駆使して」と書いたりしますが、にじみをコントロールして描くことがこんなにむずかしいとは!と、思い知らされた作品です。(M・Y)

――――――――――

次回は、現在、安曇野ちひろ美術館で開催中の企画展「田島征三展『ふきまんぶく』―それから、そして、今―」の展示担当M.M.さんの「お気に入りの作品」です。花や子どものイメージが強いちひろの作品のなかから、あえて人物のスケッチを選んでいます。お楽しみに!

次回も、安曇野ちひろ美術館ブログよりお届けします。