平和の絵本
『「けんぽう」のおはなし』
井上ひさし・原案 武田美穂・絵
出版社:講談社
出版年:2011年
『井上ひさしの子どもにつたえる日本国憲法』(2006年 講談社)をつくる際、井上ひさしが実際に小学校の子どもたちにした憲法についての話をもとにつくった絵本です。
井上先生(井上ひさし)は、「自分のどんなところが日本人らしいと思いますか?」という質問から、わかりやすく「けんぽう」の話を始めます。
武田美穂の描く明るく元気な子どもたちとその話を聞くうちに、難しそうな「けんぽう」が、実はとても当たり前で大切なものことなんだという、井上ひさしの思いが伝わってきます。
「きみは世界でたったひとり。だれともとりかえがきかない。だからだいじ。一人ひとり、みんなだいじなのです。」という言葉が、心に響きます。
『非武装地帯に春がくると』
イ・オクベ・作 おおたけきよみ・訳
出版社:童心社
出版年:2011年
非武装地帯とは、朝鮮半島の南と北の間を隔てる248kmにも渡る何重もの鉄条網が張られた地帯のこと。
人の出入りが制限されたその地帯では、動物たちはのびのびと暮らし、四季折々に美しい自然が広がります。
その展望台に、おじいさんは登り、北の空を眺めます……。
イ・オクベの描く非武装地帯の自然豊かな平和な風景ゆえ、その両側にいる引き裂かれた南北の人たちの深い悲しみが、私たちに伝わります。
今年、刊行が始まった日中韓3ヵ国の絵本画家12人による3ヵ国共同出版「日・中・韓 平和絵本」の1冊。
『オットー戦火をくぐったテディベア』
トミー・ウンゲラー・作 鏡哲生・訳
出版社:評論社
出版年:2004年
戦争をくぐりぬけた、ぬいぐるみのテディベアの自叙伝です。
テディベアは、ドイツの工場で生まれ、誕生日プレゼントとしてデビッドという男の子にもらわれます。
デビットと親友のオスカーは、テディベアにオットーと名づけ、3人はいつも仲良く一緒に過ごしていました。
しかし、ユダヤ人のデビッドは連れ去られ、オスカーのお父さんも前線へ駆り出されます。
オットーも、爆撃で瓦礫の中へ放り出され、アメリカ兵の家族の元へ連れて行かれます。
やがてオットーは骨董屋のショーウィンドーに入れられ、長い年月が経ちました。
ある日、オスカーが彼を再び見つけて買い取るまで…。
子ども時代にナチスの占領と戦いを体験したウンゲラーならではの本です。
テディベアに語らせることにより、少し距離をおいて、戦争がもたらす悲しみが読者へ伝わってきます。
ちひろ この1冊
『ちひろ 秋の画集』
出版社:講談社
出版年:2010年
この秋、ちひろの季節の画集が刊行されます。その第一弾が『ちひろ 秋の画集』。
たわわに実る真っ赤な柿、秋の夕暮れのなか遊ぶ子どもたち、色づく木の葉……、
ちひろが秋という季節をすくいあげ、描いた作品の数々が掲載されています。
かぜ どこから ふくの ふゆ どこからくるの あき どこへいくの (いわさきちひろ1968年)
ところどころに添えられたちひろや息子の猛の言葉がアクセントとなり、詩画集を読むように楽しめる1冊です。
- 『戦争をくぐりぬけたおさるのジョージ』 ルイーズ・ボーデン・文 アラン・ドラモント・絵 福本友美子・訳 岩波書店 2006年
- 『戦争が終わっても』 高橋邦典・写真/文 ポプラ社 2005年
- 『オットー戦火をくぐったテディベア』 トミー・ウンゲラー・作 鏡哲生・訳 評論社 2004年
- 『へいわってどんなこと』 浜田桂子・作 童心社 2011年(「日・中・韓 平和絵本」)
- 『京劇がきえた日』 姚紅・作 中由美子・訳 童心社 2011年(「日・中・韓 平和絵本」)
- 『戦火のなかのこどもたち』 いわさきちひろ・作 岩崎書店 1973年
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