(左から)谷川賢作さん、谷川俊太郎さん

【イベント報告】「ちひろさんの子どもたち」谷川俊太郎×谷川賢作コンサート(9/8開催)

展覧会にあわせ、谷川俊太郎さん(詩人)と谷川賢作さん(作曲家、ピアニスト)のコンサートを練馬区立下石神井小学校の体育館で開催しました。

(左から)谷川賢作さん、谷川俊太郎さん

(左から)谷川賢作さん、谷川俊太郎さん

「みんなは、“ひいおじいさん”って知ってる?」俊太郎さんが子どもたちに語り掛けます。
「私はひいおじいさんで、ピアノの前にいる人は、私の息子だから、おじいさんなんだよ」という俊太郎さんに「おじいさんに見えないでしょ」と賢作さん。

親子ならでは軽妙な掛け合いが織り交ぜられる自由な雰囲気のなかで、コンサートは始まりました。

ちひろ生誕100年を機に出版された絵本『なまえをつけて』(※1)をスクリーンに映し、俊太郎さんが朗読をすると、俊太郎さんの声と賢作さんの即興のビアノの音色、ちひろの絵とが一体となって会場を包みました。

『なまえをつけて』(いわさきちひろ・絵/谷川俊太郎・詩/講談社)

「ちひろさんの子どもたちの顔にことばをつけるのは、すごく楽しかったです。子どもたちの表情が、深いところにあるんだよね。ゲラゲラ笑ったりオイオイ泣いたりしている訳ではないのに、ひとりひとりの子どもの気持ちがちゃんと感じられる。そこがちひろさんの絵のすごさだと思います。」

朗読の合間に語られる俊太郎さんのことばも心に響きます。

「好きか嫌いかは自由だから、好きでも嫌いでも、どちらでもいいよね。好きか嫌いか、上か下かと、ことばってものごとをふたつに分けちゃうんですよね。実際は全然分かれてないのに、分けられちゃうんですよね」。

朗読と演奏にじっくり耳を傾けたり、童謡クイズやにぎやかな音遊びに盛り上ったり、幅広い年齢の参加者がそれぞれの好きな部分を楽しんだ90分間でした。

後日、「コンサートがとても楽しかったから!」と小学生が友だち同士で来館してくれました。美術や音楽、文学といった芸術を身構えずに楽しめるきっかけになれたのならうれしいです。(※2)

※1『なまえをつけて』(いわさきちひろ絵/谷川俊太郎詩/講談社)
※2 この事業は、「練馬発!みんなのミュージアム事業」として「文化庁平成31年度地域と共働した博物館創造活動支援事業」の助成対象です。