武田美穂展 見どころ紹介③子どものこころ
ちひろ美術館・東京で開催中の「武田美穂展 絵本づくりはドキドキなのだ!」。
その見どころを、何回かにわけて紹介していきます。
3回目は、いっしょに泣いたり笑ったり、子どものこころに寄り添った武田美穂の絵本づくりをご紹介します。
子どものころの体験は、映像として鮮明に覚えています。これは絵本を描く者としては一種の才能かもとひそかに自負しています。当時といまでは子どもを取り巻く状況はずいぶん違うけれど、心の動きには重なる部分がたくさんありますから。怖かったオバケや遠足を楽しみにしていたことなど、あのころ感じたことがアイデアの源泉になるんです。
武田美穂 2008年『クリエイターになりたい』(理論社)より
『こわいドン』の主人公は、とっても怖がり。夜、おふとんの外では、きっと恐ろしいことがおきている。でも、怖い気持ちがいっぱいになると……!? 子どもたちの泣くパワーやこわがる感受性に共感し、ユーモアを交えて描いた絵本です。色とりどりのマーカーやサインペンの線描を重ねて描いた暗闇の表現も魅力です。

武田美穂『こわいドン』(理論社)より 2003年
『おかあさん、げんきですか。』は、小学4年生の“ぼく”が、母の日に贈る手紙に、率直な気持ちをつづっていく作文調の物語です。コラージュの手法と、クレヨンやダーマトグラフ(油性の色鉛筆)を使った立体的な描写により、“ぼく”の心のフィルターを通して見えるお母さんの姿を描いています。

武田美穂『おかあさん、げんきですか。』(後藤竜二・文、ポプラ社)より 2006年
作者の後藤竜二とも話し合い、本文にはないセリフを描き込むなど、独自のアイデアもふんだんに盛り込んだこの作品は、2007年に日本絵本賞大賞を受賞しました。

武田美穂『おかあさん、げんきですか。』(後藤竜二・文、ポプラ社)より 2006年
『ざわざわ森のがんこちゃん』は、武田がキャラクターデザインを手がけるNHK Eテレの人形劇「ざわざわ森のがんこちゃん」を主人公にした単行本シリーズです。友だちとけんかしたり、弟のお世話を頼まれたり……。元気いっぱいのがんこちゃんが、個性豊かななかまたちとゆかいな騒動を巻き起こします。ぱっちりとした目にまるいフォルム、表情豊かながんこちゃんは幅広い年代に愛され、子どもたちの心をとらえ続けています。

武田美穂(左)『新・ざわざわ森のがんこちゃん おばあちゃんのねがいごと』2013年/(中)『ざわざわ森のがんこちゃん 森のキノコまじょ』2006年/(右)『ざわざわ森のがんこちゃん たまごの子もり』2002年(すべて末松暁子・文、講談社)より

「絵本を通じて子どもたちに届けたいのは、“明日はいいことあるよ”というメッセージ。(中略)きっとそれが子どもたちの生きる力になるはず、と思っています。」と語った武田美穂。徹底して子どものこころに寄り添い続ける、多才な作品にご注目ください。
🕊夏の展覧会:7/25(土)~10/25(日)
武田美穂展 絵本づくりはドキドキなのだ!
《同時開催》ちひろ 子どもは平和のシンボル
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