箱に入った少女

いわさきちひろ生誕100年Life展「作家で、母で つくる そだてる 長島有里枝」みどころ-1

現在開催中(~2019.1/31まで)の いわさきちひろ生誕100年Life展「作家で、母で つくる そだてる 長島有里枝」の魅力を3回に分けてご紹介します。

展示室1では、長島有里枝さんの監修のもと、ちひろが画家となり、子どもをうみ、育てるなかで描き続けてきた素描や作品を、ちひろが人生の折々に記したことばとともに展示しています。

展示室1

展示室1  撮影 木奥惠三

長島さんが子どものころに出会い、今回の展覧会をつくるなかで改めて感銘を受けた作品は、絵本『あかちゃんのくるひ』だといいます。
うまれたばかりの弟と初めて出会う少女の心の揺れをとらえたこの絵本には、幼い子どものみずみずしい感受性が映し出されています。

箱に入った少女

いわさきちひろ 箱に入った少女 『あかちゃんのくるひ』(至光社)より1969年

「ちひろさんはときに母として子どもを見つめることはあっても、あくまで子どもたちの心に共感し、自分自身を投影していたのではないか。そんな気がしてなりません。」と長島さんは語ります。

この展示室では、終戦直後の堅い表情をした自画像、模索期の激しい筆致の自画像、はにかむようにあかちゃんを抱く自画像、いきいきとスケッチブックに鉛筆を走らせる自画像と、ちひろが人生の折々に描いた自画像もいくつか展示しています。『あかちゃんのくるひ』の少女もまた、三人姉妹の長女だったちひろの自画像といえるのかもしれません。

いわさきちひろ 自画像26歳

いわさきちひろ 自画像(26歳) 1945年

(H.M)