瀬川康男展 おうちでギャラリートーク 1「坦雲亭での暮らしと自作絵本」

ちひろ美術館・東京では、展示室で展覧会の見どころをご紹介するギャラリートークを毎月第1・3土曜日14時から行っています。本来は本日開催日なのですが、3月中はイベントの開催を見送っておりますので、ご自宅にいながら展覧会をお楽しみいただける「おうちでギャラリートーク」をお届けしていきます。

実際に展覧会をご覧いただく際の注目ポイントもご紹介していきますので、ご来館予定の方もぜひご覧くださいね。それでは、どうぞ。

没後10年 瀬川康男 坦雲亭日乗-絵と物語の間(あわい)
おうちでギャラリートーク 1「坦雲亭での暮らしと自作絵本」

「坦雲亭」(長野県青木村)での暮らしのなかで、瀬川康男が絵とことばの両方を手がけた自作絵本が生まれます。これらの絵本を、瀬川は「自作自演」と呼んで楽しんで描きました。

のちに講談社出版文化賞絵本賞、絵本にっぽん賞大賞を受賞することになる『ぼうし』(福音館書店 1983/1987年)は、近所の子どもたちと、もみくちゃになってあそんだ体験から生まれた絵本です。

月刊絵本「こどものとも」版(1983年)

表紙や白描の頁を加えて出版したハードカバー版(1987年)

「生きる」ことをありのままに体現する子どもや動物は、自作絵本を支えた存在でした。瀬川を「絵かきやさんのおじちゃん」と呼ぶ近所の少女みほちゃんや、愛犬チーが登場します。「ぼうし」は、瀬川が当時かぶっていた大きな麦わら帽子でした。

瀬川康男 『ぼうし』(福音館書店)より 1983年 ちひろ美術館蔵

土間にすわるチー 1980年代

これらの自作絵本は、印象的なことばの繰り返しで展開します。
瀬川は「ことばの本質に、詩があり、すでに絵がある」と語っています。

◆展覧会情報はこちら
没後10年 瀬川康男 坦雲亭日乗-絵と物語の間(あわい)

◆同時開催
いわさきちひろ 子どものしあわせ―12年の軌跡

(K.R.)