[表紙の作品] いわさきちひろ 「木の葉の樹」1971年

この作品は、本物の木の葉に絵の具を塗って紙に押し付け、転写する手法を用いて描かれています。葉脈は、絵のなかで大きな樹のシルエットとなり、そのまわりに子どもや小鳥が集っています。庭や野に咲く草花を愛していたちひろは、枯れ葉一枚一枚の表情を見ることも好きだったといいます。信州の旅先で枯れ草を採って持ち帰り、アトリエに飾ったり、枯れ葉をスケッチブックに貼って、押し花にすることもありました。絵のなかには、ちひろが一枚の葉を見つめながら感じた四季の移ろいと秋の情景が映し込まれているようです。