[表紙の作品] いわさきちひろ 「雨あがりの街と子ども」1970年

うすい紫と青のにじんだ色で、白い背景に手をつないだふたりの子どもたちのシルエットが浮かびあがります。画面の左上には、似た淡い色調で、傘をさしている人の上半身とおぼしき形が。遠景にはおもちゃのような家並みが、やわらかい鉛筆の線でとらえられています。この絵には、ちひろの幼いころの思い出も含まれているようです。
雑誌「子どものしあわせ」の表紙絵として描かれた作品です。亡くなるまでの十二年間担当したこの雑誌の表紙絵では、自由にちひろがデザイン感覚をいかし、楽しんで描いたようすがうかがえます。この号には、ちひろ指定の青紫色の題字がつきました。