「手から手へ展」出展画家の絵本1
2013年5月7日(火)まで、安曇野ちひろ美術館にて「手から手へ展」が開催中
『つなみてんでんこ はしれ、上へ!』
指田和・文 伊藤秀男・絵
出版社:ポプラ社
出版年:2013年
作者の指田は、あとがきで、この本で伝えたかったことを次のように述べています。これからも起こるであろう自然災害に備え、命を守るための心がまえや訓練は大事だ、ということ。そして、子どもたちの感受性、生きる力はすごい、ということ。2011年3月11日、釜石東中学校と鵜住居小学校の生徒たちが先生たちと約600人、津波から逃げ、助け合いながら走り、生き延びました。その様子が、迫力のある絵と文で再現されています。釜石市では過去にも津波の被害を受け、その教訓を生かした防災教育がされていたことが知られていますが、絵本ではその目標の一つ「助けられる人から助ける人へ」が行われた様子も知らせてくれます。自らの小学校時代の伊勢湾台風の体験を思い出しながら、現地で話を沢山聞き、描かれた絵は心に迫ります。
『火の話』
黒田征太郎・作
出版社:石風社
出版年:2011年
人間が、まだ火を知らなかった時代。火の神は、人間の「知恵」を信じ、「火を使って殺し合いをしない」という条件のもと、火を与えます。段々豊かになった人間は奪い合いや競い合いのなかで、火を武器にし、争い始めます。そのなかで原始エネルギーを発明し、原子爆弾を落とします。人間は、反省したのでしょうか?2011年末に出版されたこの絵本の後半では、原発の恐ろしさも、抽象的ながら激しい絵と文章で語っています。火という視点から、人間の歩んできた道と、これから進むべき道を見つめた一冊。
『レナレナ』
ハリエット・ヴァンレーク・作 野坂悦子・訳
出版社:リブロポート
出版年:1989年
人間の髪の毛を食べてみたいねずみのために逆立ちしたり、ミミズの橋のふりをしてみたり、のどの痛いきつねにマフラーをあげたり、レナレナという女の子のちょっと奇妙で不思議な毎日を描いた絵本。オランダの画家ヴァンレークは、手から手へ展に「わたしはきみがすごくすき きみの目 ひふのやわらかな毛 きみのにおい きみのおどるようすが」というメッセージを寄せています。アニメーション制作も手がける画家ならではの、コマ割りで描かれたレナレナの一挙一動は、ユーモアたっぷりで、愛らしく、ヴァンレークの日々の何気ない出来事を愛おしく思う幸せが感じられ、心が温かくなりますよ。
『ふくしまからきた子』
松本猛・松本春野・作 松本春野・絵
出版社:岩崎書店
出版年:2012年
広島のサッカー好きな男の子だいじゅの家の隣に、福島からまやが引っ越してきました。サッカーが上手なまやですが、「もう、サッカーはやらない」と言います。だって、まだ福島では、みんな外で遊べないから。放射線量も高いから。だいじゅは、祖母から福島で起こったこと、昔広島に落ちた原爆のことを聞き、どうしたら放射能をなくせるのか考えるのですが……。柔らかな透明感のある色彩で、だいじゅとまや、その家族の様子が、やさしく描かれています。しかし、だからこそ、終わらない福島の現実を忘れてはならない、子どもたちの笑顔とその未来を守りたい、という画家の強い思いが伝わります。
- 『イソップのおはなし』 木坂涼・再話 降矢奈々・絵 グランまま社 2009年
- 『サルビルサ』 スズキコー・作 ほるぷ出版 1991年
- 『マーシャと白い鳥』M.ブラートフ・再話 出久根育・文/絵 偕成社 2005年
- 『かさじぞう』 広松由希子・文 松成真理子・絵 岩崎書店 2009年
- 『まっくろくろのおばけちゃんのぼうけん』デヴィッド・カリ・作 フィリップ・ジョルダーノ・絵 戸田里香・訳 岩崎書店 2010年
- 『イモムシかいぎ』 市居みか・作/絵 小学館 2007年
- 『じごくのそうべえ』 たじまゆきひこ・作 童心社 1978年
- 『ゴリラにっき』 あべ弘士・作 小学館 1998年
- 『カクレクマノミは大きいほうがお母さん』 鈴木克美・作 石井聖岳・絵 あかね書房 2010年
- 『ケープドリはつめいのまき』 ワウター・ヴァン・レーク・作 野坂悦子・訳 朔北社 2013年
- 『ジンガくんいちばへいく』 ふじはらのりこ・作 福音館書店 2002年
- 『まるきのヤンコ』洞野志保・再話/絵 福音館書店 2010年
- 『くまとやまねこ』 湯本香樹実・文 酒井駒子・絵 川出書房新社 2008年
- 『けんかのきもち』 柴田愛子・ 文 伊藤秀夫・絵 ポプラ社 2001年
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