ピエゾグラフ展-香月泰男美術館/丸亀市資料館

今年の夏、二つのピエゾグラフ展が日本国内で開催されました。

ひとつ目は、山口県長門市の香月泰男美術館における「香月泰男といわさきちひろ ふるさとと小さな仲間たち展」です(2013年7月26日~9月1日)。この展示は香月泰男美術館の開館20周年を記念した展示のひとつで、ほぼ同じ時代を生き、戦争を体験して平和の大切さを絵によって訴えてきた二人の画家が深い愛情をもって接し、描いた家族や身近な小さな命に焦点をあてたものです。
ちひろ美術館からは、「わらびをもつ少女」、「母の日」、「すすきと夕焼け」などの、ピエゾグラフ20点を出展し、香月泰男の「母子像」「かまきり」「会話」などの油彩や立体作品23点と共に展示されました。オープニングの日には安曇野ちひろ美術館副館長竹迫祐子による講演とトークも行われ、2人の画家に共通する平和、家族への想いや、どちらの画風もともに見る人が自由に想像し、想いを重ねることができる、ということなどが話されました。入館者も普段に比べ、子ども連れの方が多かったようです。

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香月泰男美術館におけるトーク

もうひとつのピエゾグラフ展は、香川県の丸亀市立資料館で開催された「ピエゾグラフによるいわさきちひろ展 子どもたちへのまなざし」です(2013年7月27日~9月1日)。女性職員さんたちの強い希望で開催された本展では、四季のなかの子どもたち、絵本、平和への願いという3つのテーマで、ちひろのピエゾグラフ作品45点を、複製画や資料とともに展示しました。丸亀市は全国の団扇の9割を生産しています。それにちなみ、ちひろの作品で団扇が描かれている「線香花火をする子どもたち」の複製画をも特別に展示しました。
本展に際し、丸亀市内の猪熊弦一郎現代美術館、市立図書館との連携事業で、いくつかのプログラムも行われました。展示初日には、猪熊弦一郎現代美術館の教育普及担当者とともに、同館の造形スタジオにて、水彩技法ワークショップを開催しました。また、8月4日には、ちひろ美術館顧問松本猛の記念講演「母いわさきちひろと絵本の世界」、そして映画「いわさきちひろ27歳の旅立ち」の上映会が同館であり、170名を超える方々が参加。図書館ではちひろの本コーナーも特設されました。

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丸亀市猪熊弦一郎現代美術館におけるワークショップ

また、展示を記念してちひろの絵を使った丸亀の特製手貼り団扇を、地元の会社といわさきちひろ作品普及会が共同開発して2種作成しました。
安曇野や東京から遠く離れた2県で、ちひろに出会う機会を与えられたことに感謝します。   

(松方路子)