しるしる憲法 アイコン

4/13(土)しるしる憲法ワークショップを開催しました

まもなく憲法記念日です。今年で施行72年となる日本国憲法ですが、この憲法が、私たちの日常と、どれほど深く結びついているかを意識する機会は、普段はあまりありません。
そこで、憲法記念日を前に、憲法をじっくり「体験」して条文と親しくなれるよう、「しるしる憲法」のメンバーを講師に招き、ワークショップを開催しました。

しるしる憲法 アイコン

絵:降矢なな

「しるしる憲法」は、憲法をテーマに、学習会やワークショップ、イベントへの出店などを企画運営する市民団体で、2016年、町田市の市民企画講座から誕生しました。これまでに行われてきた「しるしる憲法ワークショップ」の出前講座には、なんと延べ600名を超える参加があったとか。

でも、「対話を通してふだんの暮らしと憲法との関わりを楽しく実感する」って、、、一体どうするのでしょう?

しるしる憲法1
今回のワークショップは、男性3名、女性2名の参加者と、ちひろ美術館のスタッフ2名、しるしる憲法のメンバー3名の、あわせて10名でスタート。なかには茨城県や広島県からご参加の方も!

アイスブレーキングでは、まずしるしる憲法メンバーより参加者に問いかけが。
「日本国憲法は、何条まであるかご存知ですか?」
・・・誰も即答できませんでした(汗)

そこで、日本国憲法をA3用紙両面に印刷したものが、ひとり1枚配られます。それを砧折(きぬたおり)にしてハンディーな「マイ憲法」を手元におきながら、自分のふだんの行為が、どの条文と関係するかをひとつずつ“占って”いきます。


「ごはんをつくる」は・・・?
25条の「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」、13条の「幸福追求権」、調理師の立場からいえば、22条の「職業選択の自由」や23条の「学問の自由も」関係するのでは? 24条、18条、21条、20条、19条、、、、次々と声が上がります。

「読書する」…は?
21条の「表現の自由、知る権利」、19条の「思想および良心の自由」、23条の「学問の自由」、26条の「教育を受ける権利」、、、なかには97条の「この憲法が日本国民に保証する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試練に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである」と関係するのでは、という意見もあり、なるほど!と一同うなずく場面も。


その後も「眼鏡を拭く」、「仏前へのお手合わせ」、「寝る」・・・など、自分の何気ない日常が憲法のどの条文と関係があるかをみんなで意見交換するうちに、9条、前文、そしていつのまにか教育の格差や児童を取り巻く学校の管理体制の問題、子どもの権利条約や山形県の「子ども議会」にまで、話題が広がっていきました。これぞ、少人数ワークショップならではの醍醐味。

興味深かったのは、日常生活に関わりの深い第2章(戦争の放棄)、第3章(国民の権利及び義務)にとどまらず、財政(7章)や地方自治(8章)など、関係のある条文は、日本国憲法の隅々まで多岐にわたる、ということ。
日ごろ読まないことが多い条文まで自然に意識を広げることができました。

参加者の方からは、「“占い”というネーミングがどういう意味かよく分からす参加したが、確かに自分の考えを話すということでは占いの方が気楽でいいかなと思いました」、「もう少し考えてみたいです」、「とても楽しく深く憲法を理解できたと思います」、「現場しるしる大変勉強に」といったご感想が寄せられました。

私たちが当たり前のように送っている日常生活をあらゆる面からきめ細かく支え、守ってくれている日本国憲法。最後に全員で前文を輪読し、改めてその温かさと深さが胸にしみた2時間となりました。


写真左上から、砧折(きぬたおり)にした「マイ憲法」、しるしる憲法の活動を伝える印刷物、左下は『井上ひさしの子どもにつたえる日本国憲法』(井上ひさし著、いわさきちひろ絵/講談社、2006年)と、『おくにことばで憲法を』(大原穣子著、いわさきちひろ絵/新日本出版社、2004年)
(N.Y.)