ちひろ 子どもは平和のシンボル 見どころ紹介⑤ 画材に注目
ちひろ美術館・東京で開催中の「ちひろ 子どもは平和のシンボル」。
その見どころを、何回かにわけて紹介していきます。
現在、原画を展示中の絵本『となりにきたこ』は、パステルで描かれた絵本で、水彩画とはまた異なる、強い味のある線が印象的です。

ちひろは、フランスの画家ミシェル・マリオネットの絵本『きんのえんとつ』(至光社、1970年)を目にし、その表現に魅了され、最初は絵本を、モノクロームで描こうと思っていたようです。
ちひろは、鉛筆と墨で、『となりにきたこ』の全ての場面を描いており、繊細でこまやかな仕上がりが特徴的です。たとえば、絵本終盤の場面の習作で、少女と少年が再び近づいて話しているこの作品には、コスモスの花が茎とともに描かれており、まわりの秋の空気も感じられるようです。

いわさきちひろ コスモスとふたりの子ども 1970年
しかし、ちひろは、これでは小さくまとまりすぎると感じ、パステルで描きなおします。こまかい線を描くのが難しいこの画材で、子どもたちのみにフォーカスして描くことにより、のびやかな線で、ふたりの存在感がしっかりとあらわれています。

ピンクのセーターを着た少女・水色のセーターを着た少年 『となりにきたこ』(至光社)より 1970年
絵本の絵ではありませんが、同じく至光社から発行されている絵雑誌「こどものせかい」のために描いた作品も、今回東京では初めて展示しています。

いわさきちひろ 「ごめんなさい」 1958年
1958年に水彩絵の具で描かれたこの作品は、「ごめんなさい」という詩のために描かれました。右側にいる男の子と女の子は手をつないでおり、仲直りした後のようです。ふたりの手と、そのまわりには、コスモスの花があります。
ちひろの20年ほどの画業のなかで描き続けた子どもたちの姿をとおして、平和について改めて考える機会となれば幸いです。
🕊夏の展覧会:7/25(土)~10/25(日)
ちひろ 子どもは平和のシンボル
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