ラチョフ展の見どころ紹介④ 民話の動物たち:きつねはずる賢く、うさぎはおくびょう?
ちひろ美術館・東京で開催中の企画展「生誕120年『てぶくろ』の画家ラチョフと民話絵本の世界」について、展示担当学芸員が、その見どころを全6回で紹介します。
第4回
民話の動物たち:きつねはずる賢く、うさぎはおくびょう?
本展では、ラチョフが連作「ロシア民話の主人公たち」のために描いたタブローを4点展示しています。本来は7点あり、ロシア民話によく登場する動物、うさぎ、きつね、おんどり、おおかみ、ねこ、やぎ、くまが描かれました。この7つの動物は、いろいろなロシア民話で活躍しますが、ラチョフはここでは物語を具体的に描写するのではなく、動物が持つイメージを描き出しています。

エフゲーニー・ラチョフ 灰色しっぽの大おおかみ 1958年
こちらの作品は、「灰色しっぽの大おおかみ」です。ラチョフ自身は、「盗賊おおかみ」と呼ぶこともありました。夜の湖畔にオレンジ色の月が浮かぶ、なんとも怪しげな背景に、おおかみの目だけがらんらんと光っています。おおかみは、「カフタン」と呼ばれる、ロシアでは位の高い人が着用する豪華な外套を着ていますが、ぼろぼろでつぎがあたっています。落ちぶれてもなお獰猛さを失わない、おおかみの不気味さが感じられます。
東スラブの民話には、口伝えならではの、人々に広く共有されたイメージがありました。きつねはずる賢い娘、うさぎはおくびょうでいつも強いものに虐げられる、くまは力持ちだが不器用、などなど。こうした動物のイメージは、ことわざや言い回し、動物につけられたあだ名などからも読み取れます。それぞれの動物のイメージを知っていただくと、ラチョフが巧妙にそうした特徴を描きこんでいることが、お分かりいただけます。展示室では、パネルでまとめていますので、ぜひ作品とあわせてご覧ください。

▽開催中の展覧会 3月1日(日)~5月10日(日)
生誕120年『てぶくろ』の画家ラチョフと民話絵本の世界
ちひろ いつもとなりに―子どもと動物―
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