2017.2.20 /[表紙の作品]いわさきちひろ 「家並みの前のアンデルセン」 1967年

アンデルセンの二十四歳までの半生をつづった自伝『わたしの少年のころ アンデルセンものがたり』の表紙のために描かれた作品です。デンマークの街オーデンセの貧しい靴職人の家に生まれたアンデルセンは、感受性の強い夢見がちな子どもでした。役者を志願して十四歳でコペンハーゲンにわたり、多くの挫折を経験しながらも、決して希望を失わずに、持ち前の無邪気さと人一倍の向上心で、自分の道を切り開いていきました。自伝の冒頭には、「わたしの一生は、美しい童話です。たいそうゆたかで幸福な童話です」と書かれています。ちひろはデンマークを旅したときのスケッチを生かし、若き日のアンデルセンの姿を描いています。