2016.10.25 /[表紙の作品]いわさきちひろ 「ストーブとふたりの子ども」 1960年代後半

この絵の中央に描かれているのは、ちひろがアトリエで使用していたイギリス製のお気に入りのストーブです。ストーブの上に置かれたやかんから出る湯気が、部屋の空気を潤しているようです。ストーブを囲んで、男の子は床に寝ころび、足をあそばせて、本を広げています。くつろいだ表情から鼻歌が聴こえてきそうです。手前にいる女の子は猫を抱きながら、なにを想っているのでしょうか。ちひろは、余白を生かした画面のなかで、ポイントに紫色を配して、あたたかなしつらえや装いを描いています。そして、ストーブから広がるぬくもりを鮮やかな朱色で表現しています。