展覧会紹介②「没後50年 初山滋展 見果てぬ夢」
ちひろ美術館・東京の展示室1・2では、企画展「没後50年 初山滋展 見果てぬ夢」を開催中です。今回は、原画を展示中の絵本『もず』をご紹介します。
『もず』は、日本の秋を題材とした詩画集のような絵本です。詞作者には古倫不子(コロンブス)とありますが、これは初山の詩人としての筆名。絵と詞、どちらも初山が手がけた絵本です。
鳥の「もず」を狂言回しにして、「自然の恵みに息づくすべて、静かにつつましく、また暉かしい彩りの競演」を描いたというこの絵本では、木版画ならではの複雑なマチエールが存分にいかされています。
あとがきで初山は以下のように記し、苦心して取り組んだことをにじませています。
「古倫不子(コロンブス)氏が鞭でぼくをたたくけれど木面を刻むノミは筆のようには進めかね、制作に要した日数をざっとかぞえると1160時間余りとなった。(中略)長時間労技にひたり通し、どうやら曲りしなびた姿勢は当分ほごれようもない。」
◆春の展覧会(3/18~6/18)
没後50年 初山滋展 見果てぬ夢
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