絵雑誌「コドモノクニ」といわさきちひろ

100年前の1月、絵雑誌「コドモノクニ」(1922年1月~1944年3月)は「優れた芸術が子どもを育む」という理念のもと誕生しました。
編集顧問は倉橋惣三、童謡顧問に野口雨情と北原白秋、絵画主任には岡本帰一(2号~)、そして武井武雄や、初山滋、竹久夢二ら筆を競う画家たちが結集し、高い芸術性と新しい時代の空気をまとった絵雑誌でした。

いわさきちひろは、この「コドモノクニ」を幼いころに初めて目にしたときのことを、「美しい月見草が夕やみのなかにゆれてにおっているようであった。」「見ることや考えることがたくさんあって、夢のようないい気持ちになった。」と語っています。
のちに画家の道を歩んだちひろは、日本童画会で武井武雄や初山滋と出会い、さらに次のような言葉を残しています。

小さい時からその絵を見て育った武井先生や初山先生にお会いしたのは、もう二十年くらい前のことだと思います。童画会にはいって最初の会合の時でした。ひとくちには言えないのですけれど「ああ、この先生がたがあの絵をかかれたのか」という感動で、胸がいっぱいになりました。私も童画家として、これからこの先生がたの開かれた道を歩くのだという、運命のめぐり合わせをしみじみと末席で味わっていました。
いわさきちひろ 1968年
インタビュー「童画に託す私の夢」より

◆2022年1月16 日(日)まで開催中の展覧会
ちひろの歩み―童画から絵本へ—
絵雑誌「コドモノクニ」といわさきちひろについてもご紹介しています。
同時開催:ピエゾグラフによる わたしの好きなちひろ展
https://chihiro.jp/tokyo/exhibitions/

◆1月6日(木)、7日(金)はアトリエトークを開催します。
https://chihiro.jp/tokyo/events/84815/

(K.R.)

コドモノクニ 展示室1