[表紙の作品]いわさきちひろ 「きのこと傘をさした少年」 1966

傘をさした男の子の手前には、カラフルな色調で、黄色く色づいたイチョウの葉や落ち葉、擬人化されたきのこやどんぐりの実が楽しげに描かれています。背景には、重ねると下の色が透けて見える透明水彩絵の具の特徴を生かして、色の帯を雨のカーテンのように垂らしています。工夫をこらした構図は中期の作品に見られる特徴のひとつです。この作品は、絵雑誌「こどものせかい」1966年10月号のために描かれました。同年4月号に掲載された「チューリップのなかの男の子」(本誌2頁図4参照)同様に、表紙にはくりぬき窓が開けられ、赤や紫のきのこが窓からのぞくよう意識して描かれています。