[表紙の作品]いわさきちひろ「ねむれ わが子よ」 1967

ベッドに寄りかかった姿勢で眠ってしまった女の子。その頭の下に見える小さな両手は組まれており、絵にそえられた文章から、お母さんの病気が治りますように、と一所懸命にお祈りをしているうちに、疲れて寝てしまったということがわかります。ふたりの栗色の髪の毛の色や、背景に見えるランプや家具の形などからは、どうやら、アメリカかヨーロッパに住む親子ではないかと推測されます。母親の我が子を想う気持ち、そして、子どもの寝顔は、国や文化を超えても変わりません。ちひろは「子どもの心は、どこの国でも同じです」と語り、美しくやさしく母子像を描きました。