[表紙の作品] いわさきちひろ 青いワンピースの少女 1970年代前半

胸に細かなシャーリングの飾りが施された青いワンピースは、新調されたものでしょうか。指をからめた腕を伸ばし、視線をやや上に向けた少女の表情は、誇らしげにおすまししているようでもあり、少しはにかんだようにも感じられ、おしゃれ心にめざめた少女の晴れやかな心持ちが伝わってくるようです。白い丸襟に、ふんわり膨らんだパフスリーブが愛らしいワンピースは、ちひろが娘時代から好んだ服のデザインです。ちひろは水彩の濃淡やにじみを駆使して、少女のふっくらとしたほおや量感のあるやわらかな髪、青いワンピースのブロード生地の光沢やしなやかな質感までをも、端正に描きだしています。