庭の絵本

2013年5月19日(日)まで、ちひろ美術館・東京にて「ちひろの庭」展開催中

ジョゼフのにわ
『ジョゼフのにわ』
チャールズ・キーピング・著 猪熊葉子・訳

出版社:らくだ出版
出版年:1983年

ジョゼフは、くずやのおじさんからがらくたの代わりにもらった苗木を、荒れ果てた裏庭に植えます。やがて一輪の美しい花が咲きますが、ジョセフは大事に思うがあまり、枯らしてしまいます。キーピングは、ジョゼフの花を独占したい気持ち、花が枯れて悲しく不安な気持ちを、ゆらぐ模様や渦巻く線、そしてセルフィルムを重ねた微妙な色彩で表現しました。やがて、木は育ち、花が咲き誇り、虫や鳥、猫も訪れ、ジョゼフの庭は、昔の荒れ果てた庭ではなくなります。最後のページの大切なものをみなと共有する幸せを知ったジョゼフの笑顔が印象的です。


魔術師ガザージ氏の庭で
『魔術師ガザージ氏の庭で』
クリス・バン・オールスバーグ・著 辺見まさなお・訳

出版社:ほるぷ出版
出版年:1981年

へスター嬢から預かった犬のフリッツと午後の散歩にでかけたアラン。しかし、フリッツは「犬厳禁」の魔術師ガザージ氏の庭に入り込んでしまいます。アランは、フリッツを探し、会った魔術師ガザージ氏に、何とフリッツがあひるに変えられてしまったことを知るのです。さて、アランとフリッツの運命はいかに?きれいに整えられ、どこか不気味な雰囲気が漂う木々、途方もなく大きくそびえるガザージ氏の邸宅、緻密に描きこまれたモノクロームの庭には、オールスバーグ独特の奇妙な世界が繰り広げられています。読者も魔術師ガザージ氏の庭に迷い込んでしまったかのような錯覚を覚えます。


ルラルさんのにわ
『ルラルさんのにわ』
いとうひろし・著

出版社:ほるぷ出版
出版年:1990年

ルラルさんの自慢の庭は、広くて気持ちのよい芝生の庭です。大切な庭なので、ルラルさんは、毎日手入れをし、誰かが入ろうとするとパチンコで追い払います。ところがある日、大きなワニがルラルさんの庭にやってきます。いとうひろしの明るくさわやかな水彩の色と、どこかのんびりとしたユーモアのある絵に、春になって暖かくなったら、公園や庭の芝生でのんびり寝そべりたくなりますよ。ちょっとへんくつなおじさん、ルラルさんシリーズの第一作。


  • 『うさぎたちのにわ』 レオ・レオニ・著 谷川俊太郎・訳 好学社 1979年
  • 『おじいさんの小さな庭』 ゲルダ・マリー・シャイルド・著 バーナデット・ワッツ・画 ささきたづこ・訳 西村書店 1987年
  • 『グーズベリーさんのみどりのにわで』 ロイス・レンスキー・著 西巻茅子・画 こぐま社 1997年
  • 『リネア モネの庭で』 クリスティーナ・ビョルク・著 レーナ・アンデション・画 福井美津子・訳 世界文化社 1993年
  • 『わたしの庭のバラの花』 アーノルド・ローベル・作 アニタ・ローベル・画 松井るり子訳 1993年
  • 『ふしぎな庭』 イージー・トゥルンカ・著 いでひろこ・訳 ほるぷ出版 1978年
  • 『ぼくの庭ができたよ』 ゲルダ・ミューラー・著 ささきたづこ・訳 文化出版局 1989年
  • 『魔女の庭』 リディア・ポストマ・著 熊倉美康・訳 偕成社 1983年
  • 『ハンナのひみつの庭』 アネミー・ヘイマンス,マルフリート・ヘイマンス・著 野坂悦子・訳 岩波書店 1998年11月