トラフ建築設計事務所の鈴野浩一さん(左)と禿真哉さん(2019年9月8日撮影)

【イベント報告】トラフによるアーティストトーク(8/3開催)

トラフ建築設計事務所の鈴野浩一さんが、トラフの柔軟な発想やこれまでの仕事についてお話しくださいました。

「今日は『Inside Out(=裏返し)』という、トラフの考え方をお話しします。僕らは建築に限らず、インテリアやプロダクトなど、建築的な発想を活かしながらジャンルを横断して仕事をしています。そのなかで、既成概念にとらわれないアプローチを大切にしています。
ちひろさんとのコラボレーションで、『子どものへや』というテーマを与えられて注目したのは、作品によく登場する帽子をかぶった子どもたちです。子どもにとって帽子というのは、一番身近で最小の空間、へやのように安心感を与えてくれるものなのでは? それをヒントに大きな帽子の形をした子どものへやをつくりました。実際になかに入ったり、帽子のつばをテーブルとして使うこともできます。水彩のワークショップでつくったにじみのオーナメントを吊って、にじみの帽子の子どものへやになりました。」

トラフ建築設計事務所の鈴野浩一さん(左)と禿真哉さん(2019年9月8日撮影)

トラフ建築設計事務所の鈴野浩一さん(左)と禿真哉さん(2019年9月8日撮影)

「建築家として、常に実物を縮小した模型で考えています。自分が1/1000の小人になって図面の上を歩き回ると空間が1000倍にもなる。そういう空間の伸び縮みや時間の流れを常に考えています。
建築でもインテリアでも、引き渡した時がベストだと、あとは劣化するだけですが、僕らはエイジングとともに味が出るような素材を選んだり、人と人とのコミュニケーションも意識してモノづくりに取り組んでいます。」

そのほか、犬のための椅子「ワンモック」、町の風景を変えるベンチ「DOZO BENCH」、パラメーターを変えた架空のサッカーコート「WORLD CUP」、東日本大震災の復興支援でもある「石巻工房」の活動など、人と家具と建築を自在につなぐ多彩な発想に圧倒されました。

(N.Y.)