「Life展」作家で、母で つくる そだてる 長島有里枝 見どころ2
ちひろ美術館・東京で2019年1月31日まで開催中の いわさきちひろ生誕100年「Life展」 作家で、母で つくる そだてる 長島有里枝 を、1月20日に引き続き、ご紹介します。
展示室2では、展覧会タイトルと同名の「作家で、母で つくる そだてる」と題した長島有里枝さんの新作の写真作品を展示しています。
ここでは、誕生してから10歳くらいまでの息子の姿をとらえた写真を中心にほぼ時系列に沿って展示しています。子どもの安全と尊厳を守るため、長島さんはこれらの作品の発表をこれまで控えてきたそうです。
子育て中は、仕事や生活に制約があり、子どもと過ごす時間がほとんどだったという長島さんにとって、一番面白い被写体が子どもだったといいます。
そうして撮ったものをどうやってアートの文脈で理解するのかという自分自身への問いかけは、女性の役割だとされてきた家庭内での仕事の、地位の低さへの問題提議とも結びついています。こうした試みは、実はこれまで誰も試みたことがない挑戦でもありました。
このテーマは2016年に発表された長島さんの「家庭について/about home」というシリーズの作品でも展開しています。展示室3では、このシリーズから、長島さんが自身の家庭のなかで目にした光景を独自の視点で切り取った写真作品と、ちひろが暮らしのなかで描きとめた素描を同じ空間のなかに構成して展示することで、私たちが自明のことと考えている「家庭」や「芸術」という概念を問い直しているようです。
作品とじっくり向き合って、みなさん、それぞれの答えを探してみてください。(H.M)
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