ちひろの夏帽子

いわさきちひろの作品のなかに、さまざまな帽子をかぶった子どもの姿を見つけたことはありませんか?
ちひろは帽子を好み、季節にあわせて愛用していました。終戦直後のものがない時代にも、おしゃれをする心を失わず、麦わら帽子に油絵具で花を描き、リボンをつけてかぶっていたといいます。

ちひろ美術館・東京の再現アトリエ脇では、ちひろのつば広帽子が展示中です。紫を含んだような黒色のこの帽子は、異なる編み方と素材との組み合わせが幾層にも重ねられています。模様が施されたつばは光に透け、軽やかなリボンは風に揺れて、ちひろの顔まわりを華やかに彩ったことでしょう。

今日から二十四節気の「大暑」に入り、一年のうちで最も暑さの厳しい時期となりますが、ちひろの帽子は、夏の装いを楽しみ、涼しさを演出してみたいと感じさせてくれます。

◆開催中の展覧会(6/24~10/1)
谷内こうた展 風のゆくえ
ちひろ 子ども百景

いわさきちひろ 少女と港の風景 1970年