9/27(日)「ちひろ・平和への願い」スライドトーク

現在、開催中の「出版記念展 ちひろ いのちの画集」の関連イベントとして、
「ちひろ・平和への願い」と題してスライドトークが開催され、12名の方が参加されました。

今回、第2展示室では、ちひろが平和への思いを込めて描いた3冊の絵本、
『わたしがちいさかったときに』『母さんはおるす』『戦火のなかの子どもたち』の原画が展示されています。
スライドトークでは、その3冊の絵本制作にまつわるエピソードやちひろの言葉を、
ちひろの人生も交えて紹介していきました。

『わたしがちいさかったときに』は、広島で被爆した子どもたちの手記や詩に絵をつけたもの。
取材にでかけた広島で、ちひろが一睡もできなかったこと、
表紙の絵「みつめる少女」を描くとき、ちひろは何度も消しては描き、消しては描きを繰り返し、
画用紙がボロボロになってしまったこと、
編集者にはそれが、ちひろの苦渋と少女の魂の苦しみを表しているように思えたこと……。

ベトナム戦争が激化するなかで、『母さんはおるす』『戦火のなかの子どもたち』を立て続けに描いた心境を、
「今しなければベトナムの人は、あの子どもたちはみんないなくなっちゃうんじゃないかと思って……
私のできる唯一のやり方だから」と語っていたちひろ。

ちひろの言葉や人生をたどるなかで、平和への切実な思いをあらためて再認識する時間となりました。

今回の展覧会は、平和を願った3冊の絵本原画が一同に会するまたとない機会です。
ぜひ、ちひろ美術館・東京に足をお運びください。  (M.Y)
(※会期は11/15(日)まで。同時開催:「ちひろ美術館コレクション展 ねこねこ大集合」)