敗戦の日に

今日2023年8月15日は、78回目の敗戦の日です。

戦時下で青春時代を過ごしたいわさきちひろは、両親ともに国策に協力する立場で、当時としては恵まれた生活を送っていました。しかし、1945年5月25日、ちひろは空襲で家を焼け出され、炎の海のなか、命からがら逃げ惑うという経験をします。そして長野県松本市に疎開し、終戦を迎えました。
戦後、太平洋戦争が日本の侵略戦争であったこと、両親が国策に貢献していたために恵まれた生活を送っていたことを知ります。ちひろは、後年こう語っています。

「戦争が終わって、はじめてなぜ戦争がおきるのかということが学べました。そして、その戦争に反対して牢に入れられた人たちのいたことを知りました。殺された人のいることも知りました。大きい感動を受けました。そして、その方々の人間にたいする深い愛と、真理を求める心が、命をかけてまでこの戦争に反対させたのだと思いました。」いわさきちひろ 1972年

自身の戦争体験から、「二度と戦争を起こしてはならない」と強く決意し、平和な世界の実現を願ったちひろ。その思いは、ちひろのすべての作品の根底にあります。ちひろの描いた子どもや花は、今もいのちと平和の大切さを語り続けています。

◆いわさきちひろ 平和への願い

いわさきちひろ 貝の髪飾りをつけたあごに手をおく横顔の少女 1970年